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解決済みの質問

インフルエンザ等のワクチン(抗体持続期間)について

専門家の皆様、学生の質問で恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

(1)ポリオとかは、(一応)終生免疫ということで、ワクチン投与は1回ですよね。日本脳炎や黄熱病は10年おき推奨でしたっけ?これらは、ワクチンによって発生させられる抗体の持続期間が、疾病によって異なることを意味しますよね。なんで、日本脳炎の抗体は(もちろん個人差はあるでしょうが)ポリオの抗体のように長続きしないのでしょうか?

(2)インフルエンザとかだと抗原性が変わるからということで、その年に流行する抗原性を予測して、毎年打つワクチンを変えますよね。例えば今年はZZZ、来年はXXX、再来年はVVVというインフルエンザワクチンを打ったとして、ZZZ、XXX、VVVによって惹起された各抗体は、それぞれ40年、50年という期間、(次回の同一抗原侵入に対して有効なレベルで)持続すのでしょうか?メキシコ風邪に老年世代がかからないのは、数十年前の過去の感染時の免疫が残っているからだという意見が、最近一部から上がっていると思いますが、抗体と言うのはそんなに長く持続するものなのでしょうか(個人差はあると思いますが)?

(3)もし、ZZZ、XXX、VVVそれぞれによって発生させられる抗体がそれぞれ、40,50年持続するのなら、何故、ZZZ、XXX、VVVを同一のワクチンに混ぜ、同時接種できないのでしょうか。1回打てば、約150種(程度でしたっけ!?)の全てのH型N型に対応できるワクチンは何故無理なのでしょうか?僕は、毎年インフルエンザのワクチンを打たなければいけないのは、それらによって発生する抗体の寿命が、1年くらいからだと思っていました。したがって、今回の、「老年世代はメキシコ風邪に対して数十年前の古い免疫を持っているから、、、」という報道には???となりました。

(4)もう一点、前からよくわからなかった事をどさくさにまぎれて、聞いておきたいのですが、よろしいでしょうか?

【2005年現在、サルモネラ属は生物学的性状からS.entericaと S.bongoriの2菌種に分類され、さらにS.entericaは6亜種に分類される。また、血清学的には、細胞壁リポ多糖体であるO抗原と鞭毛タンパク質であるH抗原の組み合わせで2500種類以上に分類される】

例えば、この文章中にある【血清学的には、、、2500種類以上に分類される】という表現は、【抗サルモネラ抗体は、2500種類以上ある】という事と同義なのでしょうか。血清分類というのは、抗体により分類するということでしょうか?
もしサルモネラに有効なワクチンを作ろうと思ったら、2500種の抗体を誘発しうる2500種の抗原タイプを含んだワクチンを作らないといけないということでしょうか。(もっとも2500種の抗原のうち人体に有毒なものは一部でしょうけども)
ちなみに、DPTワクチンは、ジフテリア、百日咳、破傷風というバクテリアの病気に対するものだと思いますが、これらのワクチンには、それぞれ1種の抗原しか含まれていないのでしょうか。(ジフテリアに対して1種の抗原、百日咳に対して1種の抗原、破傷風に対して1種の抗原)

もしそうであるなら、サルモネラ菌との2500倍の違いと言うのは何に由来するのでしょうか。

投稿日時 - 2009-05-25 12:04:14

QNo.4988581

困ってます

質問者が選んだベストアンサー

 獣医師でウイルスに専門知識を有します。

 まず(1)ですが、ワクチンと感染防御の関係はとても複雑です。

 まず最初に、「そのワクチンが高い抗体価を誘導できるワクチンか」という問題があります。一般的に生ワクチンは弱毒化した"生きている病原体"を接種するため、体内で増殖することによって高い抗体誘導能を示します。不活化ワクチンは体内では増殖しないため、「接種する抗原量」を増やさなければならないのですが、それでも十分な抗体誘導能が得られず、2回接種しなければならないものが多いです。

 ですが、一般論として「生ワクチンは体内で増殖するので免疫誘導能が高い」と言いますが、"体内で良く増殖する(=免疫誘導能が高い)"ことと"病原性が弱い(あるいは無い)"ことは、ある意味相反する条件です。
 体内で良く増えて抗体誘導能は高いけれど病原性はなく、ワクチンによって発症する可能性は低い、という「良いワクチン」を開発することは容易ではありません。
 ヒトではさすがにありませんが、動物用だと"けっこうな確率で発症してしまう"ワクチンも存在します。しかも水平感染までしたりするワクチンもあったりします。こうなると「ワクチン」というより"弱毒株を蔓延させて野外の強毒株を抑える"というような「毒をもって毒を制す」みたいなワクチンですよね。

 "弱毒化"は、これをすれば確実、というような技術はなく、異種細胞で培養し、ひたすら継代するというのが一般的です。例えばヒトのウイルスのワクチンを開発する際に犬の細胞でひたすら継代する、とかです。なぜ異種細胞で培養すると弱毒化するのかはよく判らないのですが(よく判らないけどこうすればこうなるんだ、みたいな話はけっこうたくさんあります)、まあ馴れたヒトの細胞より異種細胞で培養した方がウイルスが変異しやすい、というのがあるのでしょう。まったく変異しなければ異種細胞ではうまく増殖できませんから。
 で、変異が頻繁に起きればそのうち弱毒化するクローンも出現するだろう、という感じですね。

 でもその結果、異種細胞の方にワクチンウイルスは馴染んでますから、ヒトに接種した時にうまく増殖できなかったりします。そういうワクチンは「もひとつ抗体価が上がらない」ワクチンになったりします。

 もうひとつは、「感染防御にどのくらいの抗体価が必要か」と言う問題があります。これもウイルスによってかなり異なります。
 中和抗体価で言うと、1倍前後というほとんど検出限界付近の抗体価でもちゃんと感染防御できるウイルスもあれば、16-32倍では確実に感染防御できるとは限らないものもあり、極端なのになると1024倍あっても症状は軽くなるけど感染防御はほぼ無理、というものすらあります。
 これはワクチンを接種して誘導される血中抗体価と、実際に感染防御のために必要な抗体のクラスが違ったり(例えばインフルエンザワクチンによって血中IgGをどれだけ誘導しても、感染防御に必要なIgAはたいして誘導されない etc..)、自然状態で感染する時の"ウイルスの暴露量"と抗体価との関係だったり、要因はそれこそウイルス種の数ほどあります。

 私は獣医なのでヒトのワクチンについてはインフルエンザなど一部のものしか知りませんし興味もないので、ポリオや日本脳炎といった個別の理由はよく判りません。
 ご存じの方がおられればフォローして頂ければ幸いです。

 (2)です。
 病原体によっては免疫誘導能が低く、感染しても有効な抗体がテイクしなかったり時間の経過と共に消失してしまうものもあるのですが、インフルエンザに関しては基本的に「生涯免疫」のようです。
 ただインフルエンザはウイルスの方が変異するため、せっかく保持している抗体も滅多に役に立つことがないわけですが。
 まあよく考えると、インフルエンザウイルスが絶えず抗原変異を続けているということこそが、「インフルエンザの感染抗体は生涯持続する」ことを証明しているのかもしれませんね。免疫が長続きしないのなら、ウイルスの方はこれだけ激しく絶えず変異し続ける理由はないのですから。

 このスペイン風邪に対する抗体が新型に有効かも、という話はソ連型が登場した時にも同様の現象が起きています。
 アジア風邪が登場してスペイン風邪が消失したのが1957年なのですが、その後香港風邪登場時にそのアジア風邪も消え、それから1977年にH1N1が再登場しました。それが現在のソ連型です。
 この時もアジア風邪以前のインフルエンザ流行(すなわちスペイン風邪)を経験した年齢層がソ連型の感染率が低い、という現象が見られ、スペイン風邪の抗体が効いていることが確認されています。

 なので今回の話は「またか」と思ったのですが、私にはちょっと疑問が。
 ・スペイン風邪とソ連型は抗原的によく似ている
 ・スペイン風邪と今回の新型は抗原的によく似ている(という説)
 ・でも、ソ連型と今回の新型はまるきり違う(だから"新型"と認定された)
 という、ちょっとおかしな話になっているんですよね。謎ですね。
 まあ考えられるのは、ソ連型は1977年の登場以来、もう30年間流行を続けています。なので変異により、オリジナルのソ連型とはもう"まるで違うモノ"になってしまっていて、その「現ソ連型」と「新型」は抗原的にまったく違う、という話なのかなと。
 もっと詳しい話か論文を読まない限りなんとも言えませんけどね。

 ただ、ワクチンについてはそこまでの持続性はないかと思います。
 感染であれば、粘膜抗体の主役となるIgAや細胞性免疫も誘導され、免疫記憶として残るのですが、ワクチンは不活化ですから基本的に血中IgAしか誘導できません。それもそれほど高いレベルではありませんし。

投稿日時 - 2009-05-26 01:19:37

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回答(2)

 息切れしたので改めて続きを。

 (3)ですが、例えばインフルエンザウイルスの亜型は144種(HAが16×NAが9)あるのですが、ヒトには縁のない亜型がほとんどなので、例えば現行のソ連型(H1N1)と香港型(H3N2)とB型の3種に加えて今回の新型(H1N1)と東南アジアで新型への変異が懸念されているH5N1、もうひとつ適当にH9N2の3つを加え、6種混合ワクチンを作ろう、という話に仮定してみます。

 すると、「1人分1種あたりの抗原量」を変えないとすると、ワクチン製造に係る資材(この場合は発育鶏卵)が2倍必要になります。つまり値段も2倍になる、ということです。

 それに加え、3種混合が6種と倍になり、「それぞれの抗原量」は変えないとすると、「接種する抗原の総量」も倍になります。となると、当然副反応が出る確率も増え、その症状も重くなることが懸念されます。

 それを嫌って「それぞれの抗原量」を半分にしたとします。すると接種する抗原の総量は変わらないので、副反応の確率や症状は現行と同じであることが期待できます(期待通りに運ぶ保証もないけど)。
 でも、それぞれの抗原量は半分になるわけですから、それだけ「効かない」ワクチンになるでしょう。

 というわけで、多価ワクチンを作るのは意外に難しいです。
 ヒト用だと5種くらいまであるんでしたっけ?よく知らずに書いてるのでご存じの方は訂正して頂ければ嬉しいです。
 動物用だと6種くらいまででしょうか。7種、あったかな・・?

 (4)です。

>血清分類というのは、抗体により分類するということでしょうか?

 そのとおりです。ですが、

>もしサルモネラに有効なワクチンを作ろうと思ったら、2500種の抗体を誘発しうる2500種の抗原タイプを含んだワクチンを作らないといけないということでしょうか。

 とはなりません。
 何故かというと、そのO抗原とH抗原は、感染防御に重要な抗原というわけではないからです。もちろんサルモネラ属の細菌はみんな持っている「共通抗原」というのもありますし、分類のために注目している抗原と感染防御に重要な抗原は異なることも多いです。

 インフルエンザは、HA抗原がそのまま「感染防御に重要な抗原」になるので、このHA抗原を用いてワクチンを作ります。ちなみにこのHAやNA亜型というのも「血清型」です。
 サルモネラ属のO抗原やH抗原は病原性にも関与する抗原なので、これらの抗原のワクチンが有用である可能性もあるのですが、一般論としては「血清型」は分類のために注目されている抗原であることも多々あるので、血清型が数多くあるウイルスであっても、ワクチンは共通抗原のものただ1種、ということも普通にあります。

投稿日時 - 2009-05-26 01:42:22

お礼

Jagar39さんから回答を頂戴するのは2度目です。
凄い回答をどうもありがとうございました。
自分の中であやふやであったところが、よく理解できました。
Jagar39さんの書かれた他の質問への回答記録と併せて、プリントアウトしました。どうもありがとうございました。

投稿日時 - 2009-05-26 11:06:35

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